講座「サービスからのアグレッシブ・ラリー」(2015.07.21)報告


講座「サービスからのアグレッシブ・ラリー」は毎週火曜の夜、山中教子、馬場穏行コーチによる実践的な講座です。

この日のテーマは「時間を感じる」ということでした。

 

「時間を感じる」には、2つの意味が込められています。ひとつは、「時間は限られている」ことを理解すること。もうひとつは、「飛んでくるボールのスピードに合わせて運動する」ということです。

 

「時間が限られている」とは、どういうことでしょうか。

 

私たちは無意識のうちに、「時間は自分の好きに使えるもの」と捉えてしまっています。そのため、「こういうスイングをしよう」「ここに動いて、こんなふうに打とう」というように、自分勝手に自由な運動で打球できると錯覚してしまいます。

 

コースが決まっていて、ボールがゆっくり飛んでくる状況であれば、こうした打ち方も可能でしょう。しかし、ボールが少しでも速く、しかもこちらの予測と違うところに飛んでくると、途端にこうした運動は間に合わなくなってしまいます。

 

臨機応変なプレーのためには、「自分が使える時間は限られている」という認識をもつことがスタートラインです。相手の打ったボールのスピードによって、自分が使える時間は一球一球異なります。このように「限られた時間」の中で運動を行う意識があれば、相手のボールがどのようなボールであれ、自分の身体運動を間に合わせるスタートラインに立つことができます。

 

では、限られた時間の中で、相手の打ったボールに合わせた打球運動を行うには、どのようにすればよいのでしょうか。そのポイントは、「足の指先の使い方」にあります。

 

今回は、ショートカットのラリーを通じて「足の指先の使い方」を学びました。バックのショートカットであれば、相手が打球したタイミングに合わせて右足(右利きの場合。左利きの場合は左足)の指先を使って、右膝を左に寄せていく。このとき自然と右足のかかとが上がります。打球するときには反対に、左足の指先を使いながら、左膝を右へ寄せるようにして、全身を使って振り切ります。

 

ここで大切なのは、右膝を寄せ始めるタイミングです。多くの場合、ゆっくり飛んでくるカットボールを待ち切れずに、自分のタイミングで先に動いたり、ラケットを引いてしまいます。また反対に、打球する直前まで全く動かないままボールを待ってしまうと、打球動作がぎこちなくなってしまいます。相手が打球することを確認してから、飛んでくるボールのスピードに、右膝を寄せていくスピードを合わせるように意識すると、ボールと運動のタイミングがピタッと一致します。

 

このような身体の使い方は、ショートカットに限らず、あらゆる打球動作に応用することができます。飛んでくるボールがゆっくりなら、ゆっくりと。速ければ、速く。相手の打ったボールのスピードに合わせて、足の指先を使ってボールに身体を寄せていく。これによって、自分の運動、すなわち<一振り>のタイミングをボールに合わせることができるのです。

 

このときにひとつ、注意しなければいけないことがあります。それは、ボールの見方です。

 

相手がボールを打つタイミングを意識するあまりに、相手の「ラケット」ばかりを見てしまうのは間違いです。「ラケットだけ」「ボールだけ」というように、「ある一点」だけを見ようと意識を集中してしまうと、身体まで縮こまってしまい、やわらかい身体運動ができなくなってしまいます。

 

では、ボールを見るときには、どのように見るのが良いのでしょうか。

 

それは、「全体を眺める」ようにすることです。相手が打球する様子全体を捉えるように意識する。ボールは「見ない」のではなく、全体の中で「感じる」程度に意識する。このお話をきいた途端、それまで下半身の運動が固かったKさんは、ボールのタイミングにピタッと合った、やわらかい足の使い方ができるようになりました。

 

「時間を感じながら、足の指先を使ってボールに運動を合わせていく」という今回のテーマを通じて、山中先生が模範演技で見せてくれる「やわらかい卓球」の秘密の一端を教えていただいたように思います。今回はショートカットを中心に取り組みましたが、今回つかんだ「ボールに合わせる」感覚を、トップスピンラリーやサーブからのラリーにも生かしていこうと思います。

 

・講座「サービスからのアグレッシブ・ラリー」の詳細はこちら

http://arp-theory.com/?p=1176

・ 試合でもっと実力を発揮したい人のための ゲーム・ワークショップ(1)(2015年8月9日(日)13:30-17:00)

http://arp-theory.com/?p=1496