最高の“一振り”を目指して–2015.06.20-21 DoARP合宿


2015年6月20日-21日、富士箱根ランドにおいて第8回DoARP合宿が行われました。「最高の“一振り”を目指して」をテーマにした今回の合宿は、山中教子先生のこんな言葉から始まりました。

「最高の“一振り”の実現へ向けて私たちが取り組むべきこと、それは自分の身体を「意識」することです」

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自分の身体がどのように動いているか、使われているかを感じて、意識する。全身のバランスを感じる。体幹を感じる。体幹が2本の足の上に乗っていることを感じる。最も良い打球点に対して運動を始める「タイミング」を感じる–。

 

このように、自分の身体の在り方を客観的に見ることが「自分の身体を意識する」ということです。

卓球に限ったことではありませんが、運動というのは「自分」が行うものです。その大前提にあるのは、「自分の身体の在り方を、自分で正確に把握しておく」ということ。それができなければ、身体運動を自在にコントロールすることはできません。だからまず、自分の身体を意識して「感じる」ことから始める必要がある。

 

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では、どうやって自分の運動を意識すればいいか。そのための方法として、アジャスターを用いたエクササイズは非常に有効です。なぜなら、アジャスター運動は、自分勝手にやるのではなく、アジャスターという補助道具によって、自分の身体が導かれて行う運動だからです。

 

「運動はアジャスターに任せてしまって、自分の意識は、自分の身体がどのように使われているかに集中してください」という山中先生の言葉によって、アジャスター運動の本来の意味について、理解を新たにした参加者は多かったと感じました。

 

今回の合宿のハイライトは、意外にも卓球の実演や指導ではなく、夜のミーティングで行われた「踊り」でした。合宿の2週間前に徳之島まで飛んできたアープスタッフ陣は、現地の方々が踊る「エイサー」の身体動作からヒントを得ていたのです。

 

頭や体幹がブレることなく、優雅に踊り続けるために必要なのは、下半身の柔らかさ。片足に重心を乗せて、そのまま下に重心を一瞬だけ落とすと、反対側の足は自然と力が抜け、フッと上に上がる。このようにして、左右交互に足の力が抜けるから、アジャストステップが踏めるし、地面反力を活かすことができる。足元が軽くなり、“一振り“の時間が短くなる。参加者一同、大須賀コーチの歌う「踊るポンポコリン」に合わせて自由に踊りを楽しみつつ、「下半身の柔らかい使い方」を身体感覚で理解することができました。

 

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今回のもう一つのテーマは、「ボールにスピンを与える打ち方」でした。ポイントは「左肘(フリーハンド側の肘。左利きの場合は右肘)」。左肘を高く保つと、それにつられて右肘も上がり、身体全体が上に上がります。これで、ボールにスピンがかかりやすい打ち方ができるのです。

 

参加者の一人、表ソフトラバーを使用されているHさんは、「表ソフトの場合には、スピンをかけない打ち方も必要なのでは」と考えていました。そんな質問に対して山中先生は、「スピンのないボールは安定しないから、本物ではない」と答えておられました。ご自身も表ソフトラバーを使用している山中先生の華麗なフォアハンドは、確かにスピンがかかっており、美しい弧を描いて相手コートに吸い込まれていくようでした。スピンのかかる打ち方だから、運動が途切れずに流れるように続いていく。そのことを、先生ご自身の運動から学ばせていただきました。

 

今回合宿に初参加した大学生のMくんは、合宿の初日と二日目で大きく変わりました。初日は動きに硬さが見られたのが、二日目にはフォアハンドの見事な“一振り”を見せてくれました。合宿終了後に彼は、「左側全体が筋肉痛になりました」と漏らしていました。そのくらい、今までは左半身が使われておらず、右半身だけで卓球をしていたということでしょう。

 

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Mくんを始め参加者全員が、左半身の使い方を意識するようになり、皆さんの後ろ姿が合宿のスタート時と比べて一段と大きく見えました。

 

自分の身体を「感じる」こと。これは何も卓球中やアジャスター運動の最中でなく、毎日の生活の中でも取り組めるテーマです。普段何気なく歩くときに、身体はどのように使われているか。今自分が立っている姿勢はどうか。このように普段から自分の身体を意識することは、日々取り組めるトレーニングです。

 

今回の合宿を機に、皆さんが日々、自分への身体意識を高めていくことができれば素晴らしいことですね。次回、また皆さんにお会いした時に、身体運動がどれだけ変わっているのか、楽しみでなりません。
(アープ卓球カレッジスタッフ S)

 

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