徳之島訪問レポート
2016年5月27〜29日、アープ卓球カレッジインストラクターと受講生を合わせた10名で、鹿児島県徳之島を訪問しました。この訪問は2年前から始まったもので、今回で3度目となります。
連日雨が振る梅雨の時期、奇跡的な快晴の徳之島に迎えられ、気分が高まります。昨年に続き、大きな横断幕を携えた地元関係者の方々が、徳之島空港まで出迎えて下さいました!
最初に向かったのは天城町役場。天城町の町長をはじめ、役所の方々に表敬訪問しました。徳之島では、平成32年に予定されている鹿児島国体のトライアスロン競技を開催することが決定しているなど、島をあげてスポーツに力を入れており、卓球による街興しはそうした取り組みの一貫でもあります。
3年連続でこのような卓球イベントを開催する機会を持つことができた背景には、町長のお人柄の良さと、街の繁栄を願い、行政を推進するエネルギーがあるのだということを感じました。
役場では、今年最初に採れたというパッションフルーツをごちそうになりました。徳之島ではこのパッションフルーツをはじめ、紅富貴という紅茶やマンゴー、トルコギキョウなど、以前から有名だった黒糖やシークニン以外にも新たな名産品を売りにしているそうです。中でも紅茶は、TPP推進に伴う日本の農業改革の中でも注目されている一品だそうです。
そしていよいよ卓球交流のスタートです!この日はアープ一行と徳之島の地元の小中学生との交流練習と1セットゲームを行いました。
島の子たちはみな、ゲームでも思い切り良く “一振り”でプレーをしていました。昨年訪れたときの「“最高の一振り”を目指す」というテーマが、島の子どもたちにしっかりと伝わった証拠なのかもしれません。
天城町卓球連盟副会長の千葉茂さんのお話によると、徳之島では子どもたちを指導する際に、「人間性が一番大事」という方針を持っておられるそうです。卓球で勝つことだけを目指していても、その子の将来には大して役に立たない。それよりも、自分が好きなことに、楽しみながら取り組む自主性を育てたい。周囲の人と協力して、集団の中で全体を見ながら行動できる人になってほしい。こうした願いから、練習中の取り組みでは子どもたちの自主性を重視し、行動や態度に問題があるときにのみ注意するという指導法を行っているそうです。
その成果は確実に現れており、今年は天城中学校が団体戦で初めて全日本選抜大会九州予選に進出したそうです。「人間性」を重視しつつ、卓球の実績もついてきているというのは、並大抵の努力では実現できないことでしょう。島の方々の取り組み方が、本当に素晴らしいのだと思います。(今年は熊本の震災の影響で、残念ながら九州予選が中止となり、全国選抜大会に出場するチャンスは次回にお預けとなりました。)
2日目にはいよいよイベント本番、第3回徳之島オープン年代別卓球大会です。
大会スタート前に、山中教子によるミニ講義を行いました。山中は、島民の方々のプレーを見て、「島ならではの解放感がある」と強く感じていました。アープの特徴であるアジャスター体操も「空間への解放感を感じながら行うと効果的なんです」との説明を添えて、参加者全員でアジャスター体操を行いました。
前回の訪問時にアープのメンバーたちが感じていたのは、徳之島の方々の、サービスの出し方がとても丁寧であること。今回はその特徴をさらに伸ばしてもらうために、「サービスのルーティン」を説明しました。
「1から5までのステップを丁寧に行えば、ゲームの中の緊張した場面においても、落ち着いて、自分を持ってプレーできるようになります」
この講義の直後に行う大会で、すぐに実践できるテーマを取り上げたところ、その効果はすぐに現れました。本大会を通じて、参加者の様子をずっと見ていましたが、どの方もサービスのルーティンと実践しようと意識していました。特に、カデット・ジュニア男子の部で優勝した天城中学校の田中力徹くんは、予選から決勝まで、どんなに緊張した場面になっても「サービスのルーティン」をきちっと守っていました。そのことが、フルゲームの熱戦を勝ち抜き、決勝の0-2とリードされた場面からの大逆転にもつながったのではないかと思います。見事なプレーでした!
本大会には、島内から下は小学2年生、上は70歳代まで、幅広い層のプレイヤーが参加しました。アープからも馬場インストラクターを含む6名が参加しました。お互いに素晴らしいプレーが数多く生まれ、熱戦が多くなる中でも、ゲームが終わればお互いに清々しい笑顔で握手をして終わる。勝ち負けを超えて、島民の方々と卓球を通じて親交を深められたことが、何より嬉しかったです。
この日の夜は、天城町卓球連盟主催の「山中先生を囲む会」と題したバーベキューイベントをセッティングしていただき、親睦を深めました。地元の学生による踊りや、徳之島を題材にしたオリジナル曲を携えたバンド演奏など、島の文化や島民の温かさなど、徳之島の魅力をたっぷりと感じられた、有意義な時間となりました。
3日目には、徳之島の景勝地を観光させていただきました。澄み切った青い海、白く輝く砂浜と神秘的な岩浜、生命力豊かで珍しい植物の数々。この島の豊かで壮大な自然に触れ、心が一回り大きくなった気がします。きっと、徳之島の方々の大らかさや温かさも、この島の偉大な自然と通じるものがあるのでしょう。
大変充実した3日間は、あっという間に過ぎてしまいましたが、一生忘れられない、大切な思い出となりました。
末筆になりましたが、本イベント主催の天城町卓球連盟、同じく協賛の徳之島天城町自治体や南西糖業株式会社、天城町体育協会、徳之島観光連盟の方々に感謝いたします。徳之島の方々にとって、またアープ卓球カレッジにとっても、本イベントが今後の更なる飛躍へのきっかけになることを祈っております。ありがとうございました!
(アープカレッジ スタッフS)